夫婦の年金に年42万円ほど上乗せされることも?「加給年金」をゼロからわかりやすく解説【2026年】
「年金は、自分が払ってきた分だけ受け取るもの」
そう思っていませんか?
実は条件によっては、
配偶者がいることで、老齢厚生年金に年40万円前後が上乗せされることがあります。
2026年度では、代表的なケースで、
年423,700円
月額にすると約35,300円です。
これが、
「加給年金」
です。
ただし、全員がもらえるわけではありません。
「妻が専業主婦なら?」
「共働きでも?」
「夫婦の年齢差は関係ある?」
「何歳まで?」
「申請しないともらえない?」
と、条件が少し分かりにくい制度でもあります。
そこでこの記事では、年金に詳しくない人でも分かるように、
「誰が・いくら・いつまで」
の3つを中心に整理します。
まずここだけ|加給年金を30秒で
加給年金を超ざっくり言うと、
厚生年金に長く入っていた人に、65歳未満の配偶者などがいる場合、年金が上乗せされることがある仕組み
です。
まずは5つだけ覚えてください。
・厚生年金に原則20年以上入っている人が中心
・65歳未満の配偶者などがいる場合に対象になることがある
・2026年度は代表的なケースで年423,700円
・配偶者が65歳になると配偶者分は原則終了
・条件を満たしたら何もしなくても必ず付く、という制度ではない
ここまで読んで、
「自分たち夫婦も関係あるかも」
と思った人は、この先を確認してみてください。
夫婦の年金が年42万円ほど増えることもある?
2026年度の配偶者分の加給年金額は、
年243,800円
です。
そして、一定の世代では、ここにさらに「特別加算」という上乗せがあります。
老齢厚生年金を受け取る本人が1943年4月2日以後生まれの場合、2026年度の特別加算は、
年179,900円
です。
配偶者分の加給年金
243,800円
+
特別加算
179,900円
=
423,700円/年
月額換算:約35,300円
つまり条件を満たせば、
自分自身の年金とは別に、配偶者がいることで年40万円を超える上乗せが付くケースがある
ということです。
注意
全員が423,700円を受け取れるわけではありません。
これは2026年度の代表的なケースです。
本人の生年月日、配偶者の年齢、厚生年金の加入期間、配偶者自身の年金などで変わります。
そもそも、なぜこんな制度があるの?
ここを知ると、加給年金がかなり理解しやすくなります。
1985年の大きな年金制度改正によって、配偶者も65歳になると、自分自身の老齢基礎年金を受け取る仕組みになりました。
ところが、例えば、
夫65歳・妻60歳
という夫婦の場合、夫は年金を受け取り始めても、妻が自分の老齢基礎年金を受け取る65歳まで、まだ5年間あります。
そこで、
年下の配偶者が65歳になって自分の基礎年金を受け取り始めるまで、夫婦の年金収入を補う
という役割を持つのが、現在の配偶者加給年金です。
初心者向けには、
「厚生年金についている家族手当のようなもの」
と考えると分かりやすいです。
もちろん、会社の家族手当と同じ制度ではありません。
あくまでイメージです。
そもそも「特別加算」って何?
「加給年金243,800円なのに、なぜ急に423,700円になるの?」
と疑問に思った人もいるかもしれません。
その差額が、
「配偶者加給年金額の特別加算」
です。
特別加算は、特別な家庭だけがもらうボーナスではありません。
1985年の制度改正で、配偶者が65歳になって自分の基礎年金を受け取る前と後で、夫婦の年金水準に大きな差が出すぎないようにするため、通常の加給年金へ追加された調整分です。
つまり、
基本の加給年金
+
制度変更による世代差を調整するための特別な上乗せ
というイメージです。
特別加算はいくら?自分でも分かる?
自分でも確認できます。
見るのは、
老齢厚生年金を受け取る本人の生年月日
です。
配偶者の生年月日ではありません。
2026年度は次のようになっています。
| 年金を受け取る本人の生年月日 | 特別加算 | 配偶者分との合計 |
|---|---|---|
| 1934年4月2日から1940年4月1日 | 36,000円 | 279,800円 |
| 1940年4月2日から1941年4月1日 | 71,900円 | 315,700円 |
| 1941年4月2日から1942年4月1日 | 108,000円 | 351,800円 |
| 1942年4月2日から1943年4月1日 | 143,900円 | 387,700円 |
| 1943年4月2日以後 | 179,900円 | 423,700円 |
例えば、
夫が65歳で老齢厚生年金を受け取り、夫が1961年生まれなら、
1943年4月2日以後
の区分です。
そのため2026年度の表では、特別加算は179,900円です。
なぜ生年月日で金額が違うの?
これも、昔の年金制度から現在の制度へ移行したときの調整です。
昔の世代は、老齢厚生年金の計算方法が現在とは少し違い、年金の「定額部分」が比較的高い世代がありました。
そのため、
昔の世代には特別加算を少なめにし、若い世代になるにつれて特別加算を大きくする
という形で調整されました。
現在50代・60代の人は、生年月日だけで見れば全員1943年4月2日以後の区分になるため、2026年度の表では179,900円の区分です。
179,900円はずっと変わらない?
いいえ。
ここも大切です。
2026年度は179,900円ですが、年金額は賃金や物価などの変動に応じて毎年度改定されます。
そのため、
「自分が65歳になるときも必ず179,900円」
とは限りません。
この記事では、必ず、
「2026年度の金額」
として見てください。
今50代の人は2028年の制度変更にも注意
さらに、これから65歳になる人にはもう一つ注意点があります。
2028年4月から、将来新たに配偶者加給年金を受ける人について、配偶者に対する加算額を見直す制度改正が予定されています。
すでに受け取っている人の加算額は維持されますが、将来新たに受け取る人については、現在と同じ金額とは限りません。
50代の人へ
2026年度の423,700円を、そのまま自分が65歳になるときの金額として家計に入れないようにしてください。
まず「自分も加給年金の対象になりそうか」を知り、実際の受給が近づいたら最新金額を確認するのがおすすめです。
自分は対象?まず4つチェック
細かい制度を全部読む前に、まずこの4つを確認してください。
□ 1.自分が老齢厚生年金を受け取る年齢になる
□ 2.厚生年金に原則20年以上入っている
□ 3.65歳未満の配偶者がいる
□ 4.その配偶者と生活を共にしている
4つとも当てはまるなら、
「自分も加給年金に関係する可能性がある」
として、もう少し詳しく確認する価値があります。
実際には、配偶者の収入や配偶者自身の年金など、追加条件もあります。
配偶者の収入にも条件がある
加給年金では、制度上、配偶者と「生活を共にしている」ことが条件になります。
具体的には、
・同居している
・別居でも仕送りをしている
などに加えて、原則として、
前年の収入が850万円未満
または、
所得が655万5,000円未満
という収入条件があります。
ここでいう条件は、税金の扶養や健康保険の扶養と、まったく同じではありません。
「扶養に入っていないから加給年金は無理」
と決めつけない方が安全です。
夫65歳・妻62歳ならどうなる?
具体例で考えてみましょう。
夫
65歳
厚生年金加入40年
妻
62歳
夫婦は生活を共にしている
そのほかの条件も満たしている
この場合、妻が65歳になるまで、約3年間、夫の老齢厚生年金に加給年金が上乗せされる可能性があります。
2026年度の代表額423,700円で単純計算すると、
423,700円
×
3年
=
1,271,100円
単純計算では、100万円を超える規模です。
もちろん、実際の支給開始月・終了月、年度ごとの金額改定、夫婦それぞれの年金状況によって実額は変わります。
それでも、
「知らなくてもほとんど影響しない制度ではない」
ということは分かると思います。
年齢差で総額はどれくらい変わる?
加給年金は、配偶者が65歳になるまでの期間がポイントです。
ほかの条件が同じなら、年齢差が大きい夫婦ほど、受け取れる期間が長くなる可能性があります。
2026年度の423,700円を使って、単純計算してみます。
| 配偶者が65歳になるまで | 単純計算した総額 |
|---|---|
| 約1年 | 約42万円 |
| 約3年 | 約127万円 |
| 約5年 | 約212万円 |
| 約10年 | 約424万円 |
例えば、
夫65歳・妻60歳
なら年齢差は5歳です。
条件が続けば、約5年間が対象になる可能性があります。
2026年度の金額で単純計算すると、
約212万円
です。
注意
実際の総額が年齢差だけで決まるわけではありません。
配偶者自身の年金、収入、支給停止条件、実際の開始月・終了月、年度改定などで変わります。
いくらもらえる?2026年度の金額
この記事では配偶者分が中心ですが、条件を満たす子がいる場合にも加給年金があります。
| 対象 | 2026年度の年額 | 主な年齢条件 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 243,800円 +特別加算 | 65歳未満 |
| 1人目・2人目の子 | 各243,800円 | 原則18歳到達年度末まで |
| 3人目以降の子 | 各81,300円 | 原則18歳到達年度末まで |
この記事で中心にしている配偶者分では、1943年4月2日以後生まれの受給者なら、2026年度は、
243,800円+179,900円=423,700円
となります。
何年間もらえる?
配偶者分について、まず覚えておきたいのは、
配偶者が65歳になるまで
ということです。
ずっと年42万円ほど増えるわけではありません。
例えば本人が65歳になったとき、
配偶者64歳なら、約1年。
配偶者62歳なら、約3年。
配偶者60歳なら、約5年。
配偶者55歳なら、約10年。
というイメージです。
つまり加給年金では、
「年間いくら?」だけでなく、「自分たちは何年間?」
まで確認することが大切です。
こんな場合は、もらえない・途中で止まることも
ここからは代表的な注意点だけ確認します。
細かい例外を全部覚える必要はありません。
配偶者がすでに65歳以上
配偶者分の加給年金は、原則として65歳未満の配偶者が対象です。
配偶者自身に一定の厚生年金がある
配偶者自身が、原則20年以上の厚生年金加入期間がある老齢厚生年金などを受け取る権利を持つ場合、加給年金が支給停止になることがあります。
ポイントは、
実際に年金を受け取っているかだけでなく、受け取る権利があるか
です。
配偶者が障害年金を受けられる
配偶者が一定の障害年金を受けられる間も、加給年金が支給停止になる場合があります。
生活を共にする条件を満たさなくなった
離婚や死亡などで関係が変わった場合や、収入条件などを満たさなくなった場合には、加給年金が終了することがあります。
ここだけ覚えてください。
「配偶者が65歳未満なら全員もらえる」わけではありません。
妻が専業主婦ならもらえる?
「専業主婦だから自動的にもらえる」わけではありません。
反対に、専業主婦だから対象外というわけでもありません。
確認するのは、
- 配偶者の年齢
- 本人の厚生年金加入期間
- 夫婦の生活関係
- 配偶者の収入
- 配偶者自身の年金
などです。
専業主婦かどうかではなく、制度の条件を満たしているかで判断します。
共働きでも対象になる?
共働きだから即対象外、というわけでもありません。
配偶者が働いていても、収入などの条件を満たしていれば対象になる可能性があります。
ただし、配偶者自身が厚生年金に長く加入し、一定の老齢厚生年金を受ける権利を持つようになると、加給年金が支給停止になる場合があります。
共働き夫婦なら、
「配偶者自身の厚生年金は何年ある?」
も確認しておきたいポイントです。
申請しないともらえない?
ここも重要です。
「条件を満たせば、何もしなくても絶対に自動で付く」とは考えない方が安全です。
日本年金機構は、加給年金額を加算するためには届出が必要と案内しています。
通常は老齢年金の請求時などに、
- 配偶者の氏名
- 生年月日
- 夫婦の関係
- 配偶者の年金状況
- 収入状況
などを確認します。
状況によっては、戸籍や住民票、所得を確認する書類などが必要になる場合があります。
また、65歳になった時点では厚生年金加入20年に届いていなくても、その後も働き、20年以上になったことで加給年金の対象になるケースもあります。
難しい届出書の名前を覚える必要はありません。
大切なのは、
「自分は対象かもしれない」と思ったら、年金請求時に加給年金について必ず確認すること。
配偶者が65歳になったらどうなる?
配偶者分の加給年金は、配偶者が65歳になると原則終了します。
では、その後は完全になくなるだけなのでしょうか。
一部の世代では、65歳になった配偶者本人の老齢基礎年金に、
「振替加算」
と呼ばれる加算が付く場合があります。
ただし、
・全員が対象ではない
・生年月日などで条件が違う
・加給年金と同じ金額ではない
・1966年4月2日以後生まれには振替加算がない
という制度です。
つまり、
「加給年金42万円が、そのまま配偶者の年金へ移る」
わけではありません。
今回の記事では、まず加給年金そのものを理解できれば十分です。
YouTubeでは図と具体例で見られます
この記事では、検索から初めて「加給年金」を知った人でも分かるように、基本から整理しました。
YouTubeでは、夫婦の年齢差などを図で見ながら、加給年金の仕組みを説明しています。
文章より図で見た方が分かりやすい人は、こちらもあわせて確認してみてください。
自分の年金はねんきんネットで確認
加給年金を考える前に、まず自分が厚生年金にどのくらい加入しているか、将来の年金見込額はいくらかを確認するのもおすすめです。
よくある疑問
加給年金は誰でももらえますか?
いいえ。厚生年金の加入期間が原則20年以上あること、65歳未満の配偶者などがいること、生計維持などの条件を満たす必要があります。
妻が専業主婦なら加給年金をもらえますか?
専業主婦かどうかだけでは決まりません。配偶者の年齢、本人の厚生年金加入期間、収入、配偶者自身の年金などの条件を確認します。
共働きでも加給年金の対象になりますか?
共働きというだけで対象外になるわけではありません。ただし、配偶者の収入や、配偶者自身が一定の老齢厚生年金を受ける権利を持つかなどによって、支給されない・停止される場合があります。
加給年金はいくらですか?
2026年度の配偶者分は年243,800円です。さらに老齢厚生年金を受け取る本人の生年月日に応じた特別加算があり、1943年4月2日以後生まれの場合は合計年423,700円です。
特別加算とは何ですか?
1985年の年金制度改正の際、配偶者が65歳になって自分の基礎年金を受け取る前と後で、夫婦の年金水準に大きな差が出すぎないようにするため、配偶者分の加給年金へ追加された上乗せです。特別な家庭だけに支給されるものではありません。
自分の特別加算額はどうすれば分かりますか?
老齢厚生年金を受け取る本人の生年月日を、日本年金機構の年度ごとの表に当てはめて確認できます。配偶者の生年月日ではありません。
配偶者が65歳になると加給年金はどうなりますか?
配偶者分の加給年金は原則終了します。その後、一部の世代では配偶者本人の老齢基礎年金に振替加算が付く場合があります。
年の差夫婦ほど多くもらえるのですか?
ほかの条件が同じなら、本人が加給年金を受け始めたときの配偶者が若いほど、65歳になるまでの期間が長くなるため、受給期間が長くなる可能性があります。ただし、年齢差だけで実際の総額が決まるわけではありません。
申請しなくても自動的にもらえますか?
完全自動で必ず加算される制度ではありません。日本年金機構は加給年金額の加算には届出が必要と案内しています。自分が対象になりそうなら、老齢年金を請求するときに確認してください。
今日の小さな作戦|夫婦3つだけ確認
今日は、加給年金の細かい条件を全部覚える必要はありません。
夫婦について、次の3つだけ確認してください。
1.夫婦それぞれの生年月日
2.自分は厚生年金に何年入っている?
3.配偶者が65歳になるとき、自分は何歳?
例えば、
「自分が65歳のとき、妻は60歳」
なら、加給年金に関係する可能性があります。
そこで初めて、年金事務所や日本年金機構で細かい条件を確認すれば十分です。
最初から難しい制度を全部覚える必要はありません。
まとめ|まず「自分にも関係ある?」を確認しよう
加給年金は、名前だけを見ると難しい制度です。
でも生活の言葉に置き換えると、
厚生年金に長く入っていた人に、65歳未満の配偶者などがいる場合、年金が上乗せされることがある。
という仕組みです。
2026年度では、代表的なケースで、
年423,700円
になる場合があります。
ただし、
・全員がもらえるわけではない
・金額は毎年度変わる
・配偶者が65歳になると原則終了
・配偶者自身の年金によって途中で止まる場合がある
・将来の新規受給者は2028年から制度変更が予定されている
・加算には届出が必要
という点には注意が必要です。
だから今やることは、難しい制度を暗記することではありません。
「自分が65歳のとき、配偶者は何歳?」
を確認するところからで十分です。
不安を知識に、知識を余裕に。
自分たち夫婦にも関係しそうだと分かったら、そのときに詳しい条件を一つずつ確認していきましょう。
参考情報
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 日本年金機構「加給年金額を受けられるようになったとき」
- 日本年金機構「生計維持」
- 日本年金機構「配偶者が65歳になりました。加給年金額に変更はありますか」
- 厚生労働省「配偶者加給年金の特別加算について」
- 厚生労働省「その他の公的年金の見直し」
公的情報確認日:2026年10月28日
※この記事は2026年10月時点の日本年金機構・厚生労働省の公表情報をもとに、老齢厚生年金に加算される加給年金について初心者向けに整理しています。実際の対象可否や支給額は、本人・配偶者の生年月日、厚生年金加入期間、収入、受給している年金などによって異なります。個別のケースは日本年金機構または年金事務所でご確認ください。
