退職金2,000万円の税金はいくら?勤続30年の手取りは約1,959万円【2026年】
「退職金を2,000万円もらったら、税金はいくら取られるんだろう?」
2,000万円という大きな金額を見ると、
「所得税や住民税で何百万円も引かれるのでは?」
と心配になるかもしれません。
でも、退職金2,000万円にそのまま税率を掛けるわけではありません。
退職金には、長年働いた人の税負担を軽くするため、
- 退職所得控除
- 原則として控除後の金額をさらに1/2にする仕組み
- 給与などとは原則分けて税金を計算する分離課税
があります。
先に結論|退職金2,000万円・勤続30年なら?
一般的な会社員が、通常の退職金として受け取る基本例では、
退職金:20,000,000円
所得税・復興特別所得税:155,702円
住民税:250,000円
税金合計:405,702円
手取り:19,594,298円
約1,959.4万円が残る計算です。
「2,000万円もらうから、2,000万円全部に税率がかかる」わけではないことが分かります。
では、なぜ税金が約40.6万円になるのか。
順番に見ていきます。
※この記事の計算は、2026年10月時点の税制で、一般的な会社員が通常の退職金を受け取り、「退職所得の受給に関する申告書」を提出しているケースを想定しています。過去の退職金・iDeCo一時金との重複、短期勤続、役員退職金などがある場合は計算が変わることがあります。
退職金2,000万円すべてに税金がかかるわけではない
まず、一番大事なところです。
退職金の税金は、
2,000万円 × 所得税率
のようには計算しません。
一般的な退職金では、まず勤続年数に応じた「退職所得控除」を差し引きます。
さらに、通常の会社員の退職金では原則として、控除後の残額を1/2にしてから税率を掛けます。
退職金
- 退職所得控除
↓
残った金額 × 1/2
↓
この金額に税金がかかる
この仕組みがあるため、額面2,000万円に対して、そのまま税率が掛かるわけではありません。
勤続30年なら退職所得控除はいくら?
退職所得控除は、勤続年数によって計算方法が変わります。
| 勤続年数 | 退職所得控除 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数 ※最低80万円 |
| 20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
勤続30年なら、20年を超えているので、
800万円+70万円×(30年-20年)
=800万円+700万円
=1,500万円
つまり、退職金2,000万円のうち、まず1,500万円が退職所得控除になります。
なお、勤続期間に1年未満の端数がある場合は、原則として1年に切り上げて計算します。
退職金2,000万円なら、課税される金額はいくら?
次に、退職所得控除を引きます。
2,000万円-1,500万円=500万円
ここで終わりではありません。
一般的な退職手当なら、さらに1/2にします。
退職金2,000万円
-
退職所得控除1,500万円
=
500万円
↓
500万円 × 1/2
=
250万円
この250万円が「課税退職所得金額」です。
つまり、2,000万円すべてではなく、今回の基本例では250万円をもとに税金を計算します。
所得税はいくら?
課税退職所得250万円の場合、2026年分の所得税速算表では、
税率10%・控除額97,500円
の区分です。
まず所得税を計算すると、
250万円 × 10%-97,500円
=250,000円-97,500円
=152,500円
さらに2026年は復興特別所得税が加わります。
国税庁の退職所得の速算では、所得税額に102.1%を掛けて計算します。
152,500円 × 102.1%=155,702.5円
1円未満を切り捨てるため、
所得税・復興特別所得税:155,702円
です。
住民税はいくら?
退職所得に対する住民税も、給与などとは分けて計算されます。
標準的な税率では、
- 市町村民税:6%
- 都道府県民税:4%
合計10%です。
今回の課税退職所得は250万円なので、
250万円 × 10%
=250,000円
となります。
結局、手取りはいくら残る?
ここまでをまとめます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 退職金 | 20,000,000円 |
| 退職所得控除 | 15,000,000円 |
| 課税退職所得 | 2,500,000円 |
| 所得税・復興特別所得税 | 155,702円 |
| 住民税 | 250,000円 |
| 税金合計 | 405,702円 |
| 手取り | 19,594,298円 |
退職金2,000万円
↓
税金 約40.6万円
↓
手取り 約1,959.4万円
「2,000万円もらったら、税金で何百万円もなくなるのでは?」
と思っていた方には、少し意外な結果かもしれません。
勤続20年・30年・40年ならどう違う?
同じ退職金2,000万円でも、勤続年数によって退職所得控除が違います。
一般的な会社員の通常の退職金という同じ条件で比較してみます。
| 勤続年数 | 退職所得控除 | 控除後 | 課税退職所得 | 税金合計 | 手取り |
|---|---|---|---|---|---|
| 20年 | 800万円 | 1,200万円 | 600万円 | 約138.9万円 | 約1,861.1万円 |
| 30年 | 1,500万円 | 500万円 | 250万円 | 約40.6万円 | 約1,959.4万円 |
| 40年 | 2,200万円 | 0円 | 0円 | 0円 | 2,000万円 |
勤続40年なら退職所得控除は、
800万円+70万円×20年=2,200万円
です。
今回の退職金2,000万円より控除額の方が大きいため、この単純例では退職所得に対する税金は発生しません。
ただし、
「勤続年数が長いほど絶対に得」
という意味ではありません。
実際の退職金そのものの金額、退職時期、企業制度、過去の退職金やiDeCo一時金などでも結果は変わります。
「退職所得の受給に関する申告書」はかなり重要
退職するときに確認したい書類があります。
「退職所得の受給に関する申告書」
です。
これを退職金の支払者へ提出していれば、勤務先が退職所得控除などを反映して所得税等を計算します。
通常はその源泉徴収で課税関係が終わり、原則として退職金だけのために確定申告をする必要はありません。
提出していないとどうなる?
提出していない場合、所得税・復興特別所得税について、
退職金の20.42%
が一律で源泉徴収されます。
退職金2,000万円なら、
2,000万円 × 20.42%
=408万4,000円
が所得税等としていったん源泉徴収される計算です。
もちろん、この金額で税負担が確定するわけではありません。
自分で確定申告をして、本来の税額と精算します。
今回のような一般的な基本例では、本来の所得税等は155,702円なので、申告書を出しているかどうかで受取時の見え方が大きく変わります。
iDeCoの一時金もある人は特に注意
ここは2026年現在、かなり重要です。
iDeCoの老齢給付金を一時金で受け取る場合、その一時金も税制上は退職所得として扱われます。
そのため、
「会社の退職金で退職所得控除を使って、iDeCoでも同じ期間についてもう一度控除を満額使う」
という単純な計算ができない場合があります。
2026年から特に注意したい変更
2026年1月1日以降にiDeCoなど確定拠出年金の老齢一時金を受け取り、その後に会社の退職金を受け取る場合、
退職金を受ける年の「前年以前9年以内」に受け取った一定のiDeCo一時金について、勤続期間等の重複を調整する対象が広がっています。
逆に、先に会社の退職金を受け、その後iDeCoの老齢一時金を受け取る場合も、過去19年以内の退職金との重複調整が問題になる場合があります。
つまり、
「退職金2,000万円・勤続30年だから控除1,500万円」
という単純計算が、そのまま使えないケースがあります。
会社の退職金とiDeCoの一時金の両方がある人は、受取時期を決める前に最新の税制を確認してください。
iDeCo自体の2026年12月改正についてはこちらの記事で整理しています。
関連記事:iDeCoは2026年12月からどう変わる?60代は何歳まで?加入条件・掛金上限を解説
ほかにも単純計算できないケースがある
今回の約1,959.4万円という手取りは、あくまで一般的な会社員の基本例です。
次のような場合は計算が変わる可能性があります。
- 同じ年に複数の会社などから退職金を受け取る
- 過去にも退職金を受け取っている
- iDeCoや企業型DCの老齢一時金を受け取る
- 勤続年数が5年以下
- 役員等としての勤続年数が5年以下
- 障害者になったことが直接の原因で退職する
勤続5年以下では「1/2課税」に例外がある
勤続年数5年以下の短期退職手当等では、退職所得控除後の金額が300万円を超える部分について、1/2課税が適用されません。
また、役員等としての勤続年数が5年以下の特定役員退職手当等では、原則として1/2課税そのものが適用されません。
今回の記事の計算は勤続30年の一般的な会社員なので、こうした例外には当たりません。
障害を理由に退職した場合
障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、通常の退職所得控除額に100万円を加える特例があります。
この場合も今回の基本計算とは異なります。
自分はいくら退職金をもらえる?
税金を計算する前に必要なのは、
「そもそも自分の会社から退職金はいくら出る?」
を知ることです。
まず確認したいのは、
- 就業規則
- 退職金規程
- 福利厚生ページ
- 人事・総務からの制度案内
- 企業年金制度
です。
会社によっては、一般的な退職一時金だけでなく、
- 確定給付企業年金(DB)
- 企業型DC
- iDeCo
などが老後資金に含まれる場合があります。
YouTubeでは「老後資金全体」を整理しています
今回の記事では、退職金2,000万円の税金に絞りました。
でも老後資金は、退職金だけではありません。
今週のYouTubeでは、
- 退職金
- 企業年金
- DB
- DC
- iDeCo
について、
「自分には何がある?」
という視点で整理しています。
今日の小さな作戦|退職金規程を一度見る
今日は、難しい税金計算を全部する必要はありません。
まず1つだけ確認してみてください。
「自分の会社の退職金制度はどうなっている?」
そして、
① おおよその退職金額
② 退職時の勤続年数
の2つを確認します。
これだけ分かれば、国税庁の計算方法を使って、退職所得控除の目安を出せます。
さらにiDeCoや企業年金の一時金がある場合は、それも一緒に確認しておきます。
「税金が怖いから退職金はあてにしない」
ではなく、
「実際に手元にいくら残りそう?」
まで見えてくれば、老後資金として使える金額も具体的になります。
よくある質問
退職金2,000万円・勤続30年なら税金はいくらですか?
2026年の一般的な会社員の基本例では、退職所得控除1,500万円、課税退職所得250万円となり、所得税・復興特別所得税155,702円、住民税250,000円、合計405,702円です。
退職金2,000万円の手取りはいくらですか?
上記の基本例なら、20,000,000円から税金405,702円を差し引き、手取りは19,594,298円(約1,959.4万円)です。
退職金2,000万円全部に所得税がかかるのですか?
いいえ。一般的な退職金では、まず勤続年数に応じた退職所得控除を差し引き、さらに原則として残額の1/2を課税退職所得として税金を計算します。
勤続30年の退職所得控除はいくらですか?
800万円+70万円×(30年-20年)で、1,500万円です。
「退職所得の受給に関する申告書」を出さないとどうなりますか?
所得税・復興特別所得税について、退職金額の20.42%が一律で源泉徴収されます。その後、確定申告で本来の税額と精算します。
iDeCoの一時金があっても同じ計算ですか?
必ずしも同じではありません。iDeCoの老齢一時金も退職所得として扱われ、会社の退職金と加入・勤続期間が重なる場合などは、退職所得控除の調整が行われることがあります。2026年から一部の調整対象期間も変更されています。
まとめ|退職金2,000万円でも「2,000万円全部」に税金はかからない
今回の基本例をまとめます。
退職金:2,000万円
勤続年数:30年
退職所得控除:1,500万円
課税退職所得:250万円
所得税・復興特別所得税:155,702円
住民税:250,000円
税金合計:405,702円
手取り:19,594,298円
退職金2,000万円という数字だけを見ると、税金もかなり高そうに感じます。
でも、退職所得控除や1/2課税などの仕組みを知ると、実際に手元に残る金額が見えてきます。
一方で、iDeCo一時金や過去の退職金、短期勤続などがある場合は単純計算できません。
だから大切なのは、
「退職金はいくら?」だけではなく、
「自分の場合、税引き後にいくら残る?」
まで確認すること。
不安を知識に、知識を余裕に。
まずは自分の会社の退職金規程を一度確認してみましょう。
参考情報
- 国税庁「退職金を受け取ったとき(退職所得)」
- 国税庁「退職手当等に対する源泉徴収」
- 国税庁「退職金と税」
- 国税庁「同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるとき」
- 国税庁「令和7年度の税制改正により、令和8年以後適用されるもの」
- 地方自治体の退職所得に係る個人住民税案内
公的情報確認日:2026年10月6日
※この記事は一般的な会社員が通常の退職金を受け取るケースを、2026年10月時点の税制で試算したものです。過去・同年の退職金、iDeCo等の一時金、勤続期間の重複、役員退職金、短期勤続、障害退職などにより実際の税額は変わる場合があります。個別の税務判断については、税務署や税理士等へご確認ください。
