老後の収入の“不足分”を埋める方法|家計シミュレーションの作り方(テンプレ付き)
老後のお金の不安って、結局ここに集約されます。
- 「年金がある」だけでは、毎月の生活費・税・社会保険料で不足が出ることがある
- でも本当の怖さは、“いくら足りないか分からない”こと
この記事では、老後の不足額を“見える化”する家計シミュレーションの作り方を、テンプレ付きでまとめます。
最後に、あなたの家計を「2000万円問題」記事にスムーズに接続できる導線も置きます。
1. まず前提|老後は「長期戦」になりやすい
厚生労働省の「令和5年簡易生命表」では、平均寿命(0歳の平均余命)は男性81.09年・女性87.14年です。
退職後が20〜30年続く前提で、「月の不足 × 年数」で考えるのが現実的です。
2. “不足”は平均でも起こりうる(ただし平均は平均)
総務省の家計調査(2023年)では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯で、
- 実収入:244,580円
- 消費支出:250,959円
- 非消費支出:31,538円(税・社会保険料など)
- 不足分:37,916円(※不足分=実収入 −(消費支出+非消費支出)として定義)
参照:家計調査報告〔家計収支編〕2023年 平均結果の概要(総務省統計局PDF)
重要:これは“平均”。あなたの家計は、住まい・働き方・生活費で大きく変わります。
だから、次のテンプレで「自分の不足額」を出します。
3. 家計シミュレーションは「月→年→老後期間」で作る
順番はシンプルです。
- 老後の月収(手取り):年金+働く収入+その他
- 老後の月支出:生活費(消費支出)+税・社会保険料(非消費支出)
- 毎月の不足:支出 − 収入
- 老後期間の累積不足:毎月不足 × 12 × 年数
- 一時費用:住まい修繕・介護・車・冠婚葬祭などを別枠で追加
年金見込額の確認(公的)
将来の年金見込額は、日本年金機構のねんきんネットで条件を変えながら試算できます。
参照:「ねんきんネット」による年金見込額試算(日本年金機構)
4. テンプレ(コピペOK)|不足額が一発で出る
まずはザックリでOK。後から精度を上げれば大丈夫です。
| 区分 | 項目 | 月額(円) | 年額(円) | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 収入 | 公的年金(手取り) | ねんきんネットで試算 | ||
| 収入 | 働く収入(手取り) | 週2〜など無理ない想定 | ||
| 収入 | その他収入(配当・副業等) | 変動するなら保守的に | ||
| 支出 | 住居(家賃/管理費/修繕/固定資産税等) | |||
| 支出 | 食費 | |||
| 支出 | 光熱・水道 | |||
| 支出 | 通信 | |||
| 支出 | 保険(民間) | 必要性の再点検ポイント | ||
| 支出 | 交通・車 | |||
| 支出 | 趣味・交際 | “楽しみ費”は削りゼロ推奨 | ||
| 非消費支出 | 税(所得税・住民税など) | 年金の課税は国税庁で確認 | ||
| 非消費支出 | 社会保険料(健康保険・介護保険など) | |||
| 予備 | 医療・介護の上振れ(予備費) | 月1〜2万円でも別枠が効く | ||
| 計算 | 収入合計(A) | =年金+働く+その他 | ||
| 計算 | 支出合計(B) | =生活費+税+社保+予備 | ||
| 計算 | 毎月の不足(B−A) | プラス=不足、マイナス=黒字 |
年金の課税関係(確定申告が必要か等):No.1600 公的年金等の課税関係(国税庁)
5. 不足分を埋める方法|王道はこの5つ
① 支出の最適化(効果が早い)
- 固定費(通信・保険・車・住居)から見直す
- “削りすぎない”ために、楽しみ費は少額でも残す
② 働く(収入+社会との接点)
70歳までの就業機会確保は、制度上「多様な選択肢」を用意する方向で整理されています(努力義務)。
参照:高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保(厚生労働省)
③ 年金の受け取り方(繰下げ)を検討する
繰下げ受給は、月単位で増額(0.7%×月数)という計算が示されています(条件あり)。
④ 制度を使った資産形成(NISA / iDeCo)
- NISA:NISAを知る(金融庁)
- iDeCo:iDeCoの概要(厚生労働省)
※投資には元本割れリスクがあります。生活防衛資金を確保した上で、無理のない範囲で。
⑤ 詐欺・トラブル回避を最優先にする
6. 2000万円問題
金融庁の報告書では、「毎月の不足額の平均は約5万円」「20〜30年で1,300万〜2,000万円」という考え方が示されています(あくまで平均で、個人差が大きい点も明記)。
次の一手:この記事のテンプレで不足額を出したら、あなたの家計に合わせて「2000万円問題」を整理し直すのが最短です。
▶ 関連記事:2000万円問題とは?(ニカドットブログ記事)
7. 免責・注意(YMYL)
- 本記事は一般的な情報提供であり、特定の金融商品・制度利用を推奨するものではありません。
- 年金・税・社会保険は個別事情で変わります。必ず公式情報を確認し、必要に応じて年金事務所・税理士・FP等へ相談してください。
- 制度や数値は改正・更新される可能性があります。
参考リンク(公的ソース)
- 総務省統計局:家計調査報告〔家計収支編〕2023年(PDF)
- 金融庁:金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書(PDF)
- 厚労省:令和5年簡易生命表の概況(PDF)
- 日本年金機構:ねんきんネット 年金見込額試算
- 日本年金機構:年金の繰下げ受給
- 厚労省:70歳までの就業機会確保(高年齢者雇用安定法)
- 金融庁:NISAを知る
- 厚労省:iDeCoの概要
- 国税庁:No.1600 公的年金等の課税関係
- 政府広報オンライン:投資詐欺にご注意を
