年金生活者支援給付金制度|対象・申請・“もらえるのに0円”を防ぐチェック
「年金が少なくて、生活がギリギリ…」
そんなときに“年金に上乗せ”される可能性があるのが、年金生活者支援給付金です。
でもこの制度、最大の落とし穴がひとつ。
一言で言うと、これ
「対象でも、手続きしなければ“0円”になり得る、年金の上乗せ給付」です。
厚生労働省の特設サイトでも、受け取るには請求書の提出が必要と案内されています。
この記事で得られること・老後にどう関わる?
- あなた(または親)が対象になり得るかが分かる
- 申請の流れ(いつ・何を出す?)が分かる
- “もらえるのに0円”を防ぐチェックリストが手に入る
- 老後の収入設計で「給付」をどう位置づけるかが分かる
老後の収入は「年金」だけでなく、給付(もらえる制度)を知っているかどうかで“底”が変わります。年金生活者支援給付金は、条件に合う人にとっては毎月の固定収入を上乗せする重要制度です。
0円になりやすい人の特徴(最初に結論)
- □ 「対象なら自動で振り込まれる」と思っている
- □ 日本年金機構からのはがき型の請求書を見落としがち
- □ 引っ越し後、住所変更の手続きがあいまい
- □ 世帯(住民票上の同一世帯)に課税の人がいる/いた
- □ 期限を過ぎて提出し、さかのぼり分が受け取れない可能性がある
このあと、ここを「一発で潰す」記事にします。
1.年金生活者支援給付金は「3種類」ある
年金生活者支援給付金は、受け取っている年金の種類により、次の3つです。
- 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金
- 障害年金生活者支援給付金
- 遺族年金生活者支援給付金
2.【超重要】対象者の条件(老齢・障害・遺族で違う)
2-1.老齢(補足的老齢)|対象の3条件
日本年金機構の説明を、分かりやすく噛み砕くとこうです。
- 65歳以上で、老齢基礎年金を受けている
- 同一世帯の全員が市町村民税 “非課税”
- 前年の年金収入+その他の所得が基準内
さらに所得の基準は2段階あります。
- 満額寄り(老齢年金生活者支援給付金):合計が 809,000円以下(※生年月日で差あり)
- 一部(補足的老齢年金生活者支援給付金):合計が 809,000円超〜909,000円以下(※生年月日で差あり)
生年月日で金額が少し違うので、公式の一覧で確認してください。
参考:日本年金機構|老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要
ここでのポイント:
「住民税が非課税の“本人”だけ」ではなく、同一世帯の全員が非課税である必要があります(住民票上の世帯)。
2-2.障害|対象の2条件
- 障害基礎年金を受けている
- 前年の所得が一定額以下(4,794,000円+扶養親族数×38万円 等)
給付額は障害等級で変わります(例:1級 6,813円/月、2級 5,450円/月)。
2-3.遺族|対象の2条件
- 遺族基礎年金を受けている
- 前年の所得が一定額以下(4,794,000円+扶養親族数×38万円 等)
給付額は原則 5,450円/月。子が複数で受けている場合は按分されます。
3.給付額はどう決まる?(老齢は“納付・免除期間”で変わる)
3-1.老齢(ざっくり結論)
「国民年金の納付月数・免除月数が多いほど増える」です。
公式には次のように計算されます(令和7年度の例)。
- 納付済期間に基づく額:5,450円×納付済月数÷480
- 免除期間に基づく額:11,551円×免除月数÷480(免除区分で変動あり)
補足的老齢は、上の納付済期間に基づく額に調整支給率をかける形になります(所得に応じて薄くなるイメージ)。
4.申請しないと0円になり得る理由(ここが本題)
厚生労働省は、対象になった人へ請求書(はがき型)を送付し、提出が必要と案内しています。
そして請求書には提出期限があり、期限を大きく過ぎると、タイミングによってはさかのぼり分が受け取れないケースがあります。
5.申請の流れ(いちばん簡単なルート)
- 日本年金機構から届くはがき型の請求書を確認
- 必要事項を記入
- 目隠しシール+切手を貼って投函(または窓口提出)
- 審査後、該当なら支給開始
支給は原則として偶数月の15日に、前月までの2か月分が支払われる案内があります(年金とは別途支払い)。
また、案内では電子申請の利用も案内されています(スマホ+マイナンバーカード等)。
6.“もらえるのに0円”を防ぐチェックリスト(保存版)
チェック①:同一世帯に「課税の人」がいない?
老齢の給付は、同一世帯の全員が市町村民税非課税が条件です。
チェック②:「前年」の所得・収入で判定される(今年の状況ではない)
「今年は収入が下がったのにダメだった…」は起こり得ます。判定は前年情報がベースになります。
チェック③:9/30時点の世帯状況で“不該当”判定→10/1以降に世帯が変わったら再請求が必要なことがある
日本年金機構のQ&Aでは、継続認定は9月30日時点の世帯状況と前年所得情報で判定し、10月以降に世帯構成が変わって要件を満たした場合は、請求書の提出で受給できる(ただし請求した翌月分から)と説明されています。
チェック④:住所変更・郵便物の見落としがない?
請求書は届く前提で進むので、見落とすと“0円”が発生します。引っ越し後は特に注意。
チェック⑤:「分からない」を放置しない(専用ダイヤルを使う)
厚労省のサイトには給付金専用ダイヤルも案内されています。困ったら早めに確認しましょう。
7.老後の収入設計での位置づけ(ニカドット的まとめ)
年金生活者支援給付金は、老後の収入を「増やす投資」ではなく、条件に当てはまる人の“収入の底上げ”です。
- 年金:ベース(多くの人がここ)
- 給付:該当者は上乗せ(知らないと0円)
- 働く:在職老齢年金など制度の理解がカギ
- 資産:NISA/iDeCo等は別軸で準備
「自分は対象かも?」と思ったら、まずは要件チェック→請求書の有無確認からでOKです。
参考資料・リンク
- 厚生労働省|年金生活者支援給付金制度について
- 厚生労働省|年金生活者支援給付金制度 特設サイト
- 日本年金機構|老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要
- 日本年金機構|障害年金生活者支援給付金の概要
- 日本年金機構|遺族年金生活者支援給付金の概要
- 日本年金機構|年金生活者支援給付金リーフレット(令和7年度版)
免責事項
本記事は、公的機関等の公開情報をもとにした一般的な解説であり、個別の受給可否や最適な手続きを断定するものではありません。所得・世帯状況・各種年金の状況により結論は変わります。最終判断は、日本年金機構・お住まいの自治体・年金事務所等でご確認ください。詐欺的な勧誘や「手続き代行」をうたう業者には十分ご注意ください。
更新履歴
- 初版公開:2025年12月11日
- 内容見直し:2025年12月11日(対象条件・0円防止チェックを強化)
