健康⑪〜感染症〜

高齢になると免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなるだけでなく、重症化しやすい傾向にあります。
特に肺炎・インフルエンザ・新型コロナウイルス・尿路感染症・帯状疱疹などが高齢者によく見られる感染症です。
今回はこれらを紹介していきます。

1.高齢者に多い感染症の種類
①肺炎(誤嚥性肺炎を含む)
特徴:
・高齢者の死亡原因の上位に入る重大な感染症
・特に誤嚥性肺炎は高齢者特有の肺炎
・風邪やインフルエンザをきっかけに発症することも多い
誤嚥性肺炎とは
・食べ物や唾液が気管に入り、細胞が肺で増殖して炎症を起こす肺炎
・飲み込む力(嚥下機能)が衰えた高齢者に多く発症
主な症状:
✅咳・痰が増える
✅発熱・倦怠感・息苦しさ
✅食事中や睡眠中にむせる
✅声がかすれる
リスク:
✅放置すると命に関わる
✅治っても再発しやすい
✅誤嚥性肺炎は慢性化しやすく、知らぬ間に進行することも
予防・対策:
✅口腔ケアを徹底(歯磨き・うがい・舌の清掃)
✅誤嚥予防のトレーニング(「あいうえべ体操」「誤嚥体操」)
✅食事はゆっくり、しっかり噛んで食べる
✅ワクチン摂取(肺炎球菌ワクチン)を受ける
②インフルエンザ
特徴:
・毎年冬に流行し、高齢者がかかると重症化や合併症を引き起こしやすい
・特に肺炎や脳炎を併発し、命に関わることもある
主な症状:
✅38℃以上の高熱
✅倦怠感・関節痛・筋肉痛
✅喉の痛み・咳・鼻水
リスク:
✅肺炎を合併しやすい
✅脳炎や心不全を引き起こすことも
✅高齢者は免疫力が低いため、長引きやすい
予防・対策:
✅インフルエンザワクチンを毎年摂取する(重症化を防ぐ)
✅手洗い・うがい・マスクの着用
✅人混みを避ける・換気を徹底
✅バランスの良い食事と十分な睡眠で免疫力を高める
③新型コロナウイルス(COVID-19)
特徴:
・高齢者ほど重症化のリスクが高い(肺炎、血栓症、多臓器不全のリスク)
・高齢者施設などでクラスターが発生しやすい
主な症状:
✅発熱・咳・倦怠感
✅呼吸困難(重症化すると)
✅嗅覚・味覚障害(軽症者にもみられる)
リスク:
✅高齢者は肺炎を起こしやすい、人工呼吸器が必要になることも
✅糖尿病・高血圧・心疾患などの基礎疾患があると重症化しやすい
✅感染後の回復が遅く、長期的な後遺症が残る場合もある
予防・対策:
✅手洗い・消毒・マスク着用の徹底
✅人混みを避ける
✅換気をしっかり行い、感染リスクを減らす
④尿路感染症(膀胱炎・腎盂腎炎)
特徴:
・高齢者に多い感染症の一つで、特に女性に多い
・尿道から細菌が侵入し、膀胱炎や腎盂腎炎を引き起こす
・排尿の回数が減ると細菌が繁殖しやすくなる
主な症状:
✅頻尿・排尿時の痛み
✅残尿感・尿の濁り・悪臭
✅発熱・腰痛(腎盂腎炎の場合)
リスク:
✅腎臓に感染が広がると命に関わることも
✅放置すると尿毒症になる可能性あり
予防・対策:
✅こまめに水分を摂り、尿を出す(1日1.5L以上が目安)
✅トイレを我慢しない
✅排尿後は清潔に保つ(前から後ろに拭く)
⑤帯状疱疹
特徴:
・水ぼうそうのウイルスが体内に潜伏し、免疫が低下したときに再活性化する病気
・高齢者では後遺症(帯状疱疹後神経痛)が残ることが多い
主な症状:
✅体の片側にピリピリした痛みが出る
✅その後、水ぶくれのような発疹ができる
リスク:
✅痛みが長時間続くことがある(帯状疱疹後神経痛)
✅目や耳に発症すると、視力・聴力障害の可能性あり
予防・対策:
✅帯状疱疹ワクチンを接種する(50歳以上推奨)
✅ストレスをためず、免疫力を維持する
2.高齢者の感染症を防ぐための生活習慣
✅ワクチン接種(インフルエンザ・肺炎球菌・帯状疱疹・新型コロナ)
✅手洗い・うがい・マスクの着用
✅口腔ケアの徹底(歯磨き・うがい)
✅こまめに水分補給(脱水を防ぎ、尿路感染症を予防)
✅バランスの取れた食事(タンパク質・ビタミン・ミネラル摂取)
✅適度な運動・睡眠で免疫力を高める
まとめ
高齢者は感染症にかかりやすく、重症化しやすいため、日頃からの予防が非常に重要です。
感染症を防ぐため、生活習慣を見直してみるのはどうでしょう。
また、世の中にはたくさんの情報が出回っています。
その中で精査し、正しい情報を入手することは難しいですが、大事になってくると思います。