他国の年金ってどうなってる?|日本と比べて“一言で”わかる(条件・金額の見え方まで)
「日本の年金って、世界の中ではどんな立ち位置なんだろう?」
老後を考え始めると、こういう疑問が湧きますよね。
ただ、年金の比較は“月いくら”だけで比べると危険です。理由は、国によって物価・税金・医療制度・賃金水準・住宅事情が違うから。
そこで本記事では、なるべく誰でも理解できるように、
- 各国の年金を“一言で言うとこれ”
- 海外でその国の年金を受け取る条件(加入・居住・通算)
- “金額の違い”をどう比べるとわかりやすいか(所得代替率)
- 日本の老後にどう活かせるか
を公的機関・国際機関の一次情報中心にまとめます。
この記事で得られること・老後にどう関わる?
- 日本と海外(米・英・独・スウェーデン・豪・シンガポール等)の年金を“制度の型”で理解できる
- 「海外で働いた/住んだ」人がその国の年金を受け取る条件がわかる
- 年金の“金額差”を比較しやすい指標(所得代替率)で把握できる
- 日本の老後で準備すべきポイント(公的+上乗せ・受給開始・家計設計)が見える
老後は「収入が減る」のが前提です。
だからこそ、年金の仕組みを理解しておくと、“老後の不足分をどこで埋めるか”(NISA・iDeCo・企業年金・働き方・住まい方)が整理しやすくなります。
結論:他国の年金を“一言で言うと”こうなる
- アメリカ:「公的は“土台”で、足りない分は職場・自助で増やす前提」
- イギリス:「国の年金は“定額寄り”。年数(10年・35年)がカギ。上乗せは職域年金」
- ドイツ:「賃金比例の公的が中心。まず“5年”の加入が受給の入口」
- スウェーデン:「働いて税を払った分を積み上げる+低所得には保証(ただし居住要件あり)」
- オーストラリア:「税方式の年金(資産・所得で調整)+強い上乗せ(スーパーアニュエーション)」
- シンガポール:「国民・永住権者の強制積立(CPF)が土台。そもそも“対象者”が限定的」
ポイントは、どの国も“公的だけで完結”ではなく、職域・自助・税制の組合せで老後を作っていることです。
1. 比較の前に:年金の“金額差”はこう見るとわかりやすい
1-1. 月額比較が危険な理由
- 物価・家賃・医療費の自己負担が国で違う
- 税金(所得税・社会保険料)で手取りが変わる
- 為替で“見かけの円換算”がブレる
1-2. じゃあ何で比べる?→ 所得代替率(働いていた頃の手取りに対し年金が何%か)
国際比較でよく使われるのが、OECDの「ネット所得代替率」です。
例として、OECD『Pensions at a Glance 2025』のモデル(平均賃金=1.0の人)では、
- 日本:42.4%
- 米国:51.3%
- 英国:54.2%
- ドイツ:53.3%
- スウェーデン:66.3%
- OECD平均:63.2%
という整理になっています(モデル・前提条件に注意。詳細はOECDの表を参照)。
参考:OECD Pensions at a Glance 2025:Net pension replacement rates(Table 4.4)
2. そもそも海外でその国の年金を受け取る条件は?(超まとめ)
結論から言うと、条件は大きく3つです。
- 加入(保険料・税) or 居住を“積み上げた実績”があること
- 最低年数(資格期間)を満たすこと(国により 5年/10年 など)
- 請求(申請)し、受け取り方法(国内/海外送金)など条件を満たすこと
2-1. もう一つ重要:社会保障協定(期間通算・二重加入防止)
日本は諸外国と社会保障協定を結んでおり、協定国との間では、
- 加入期間を通算して受給資格を満たす(totalization)
- 条件により二重加入(保険料二重払い)を防止
といった仕組みがあります。
参考:厚生労働省:Social Security Agreements(英語) / 日本年金機構:期間通算(Totalization of periods)
「海外で働いたけど、その国だけだと年数が足りない」という人にとって、ここが最大の救済ルートになることがあります。
3. 主要国の年金を日本と比較(条件→特徴→一言)
3-1. アメリカ(Social Security)
一言で:「まず10年働いて“受給資格”を作る。公的は土台で、上乗せは職場・自助が厚い」
- 受給資格の入口:原則40クレジット(概ね10年分の就労)
- ポイント:クレジットは働いて社会保障税を払うことで貯まる
参考:SSA:Social Security Credits
3-2. イギリス(New State Pension)
一言で:「10年で最低ライン、35年で満額に近づく。“年数”が命」
- 受給資格の入口:原則10年のNational Insurance(NI)記録
- 注意:“満額”に必要な年数は状況で変動し得る(制度・経歴による)
参考:GOV.UK:The new State Pension(Eligibility)
3-3. ドイツ(公的年金)
一言で:「まず5年。そこから賃金比例で積み上がる」
- 受給資格の入口:一般に5年の資格期間(minimum insurance period)
- 補足:長期加入で早期退職ルート等もある(条件あり)
参考:ドイツ連邦労働社会省(BMAS):Old-age security in Germany
3-4. スウェーデン
一言で:「働いて税を払った分が基本。足りない人は“保証”もあるが、居住・就労の条件あり」
- 基本:公的年金はスウェーデンでの所得(課税所得)に基づいて積み上がる
- 保証年金:低所得向け。原則最低3年の居住または就労が必要(条件あり)
- 海外在住:年金の種類により扱いが異なる(例:保証年金は要注意)
参考:Swedish Pensions Agency:The Swedish pension system / Guarantee pension(英語) / Swedish Pensions Agency:Pension when you live outside Sweden
3-5. オーストラリア(Age Pension)
一言で:「10年居住+資産・所得で調整。“税方式の年金”+上乗せ(職域積立)が強い」
- 受給要件:原則10年以上の居住(うち連続5年など条件)
- 金額:所得・資産テストで支給額が変わる
参考:Services Australia:Residence rules for Age Pension / MoneySmart(豪政府系):Age Pension and government benefits
3-6. シンガポール(CPF)
一言で:「国民・永住権者の強制積立。対象者そのものが限定される」
- 対象:基本はシンガポール国民・永住権者
- 補足:ステータスが変わると制度上の扱いも変わり得る(CPFの案内参照)
参考:CPF Board:CPF LIFE / ask.gov.sg(CPF):非国民・非PRの扱いに関するQ&A
4. 日本と比べると「何が違って老後が変わる?」(要点だけ)
- 受給資格の作り方:「加入年数がカギ(英)」「まず5年(独)」「10年相当(米)」など入口が違う
- “公的だけ”の厚み:国により、公的が厚い or 上乗せ前提 が分かれる
- 金額の比べ方:為替換算より所得代替率で見る方が理解しやすい
- 海外経験の効き方:社会保障協定があると期間通算で“受給権が生まれる”ことがある
5. 日本の老後に活かす:今日からのチェックリスト(超実務)
- □ 自分の公的年金見込みを把握(ねんきんネット等)
- □ 不足が出るなら、上乗せの設計(企業年金・iDeCo・NISA・就労)を“先に”決める
- □ 受給開始年齢(繰上げ・繰下げ)も家計と寿命リスクで検討する
- □ 海外勤務歴があるなら、協定の有無→期間通算の可能性を確認する
他国を知ると、日本の年金も「弱い・強い」より、“どう組み立てれば老後が安定するか”に意識が向きます。
この記事のポイント(まとめ)
- 海外年金は国ごとに「加入・居住・最低年数」のルールが違う
- “金額差”は月額比較より、OECDの所得代替率で見ると理解しやすい
- 社会保障協定があると、加入期間の通算で受給資格を満たせることがある
- 日本の老後は、公的+上乗せ+受給開始戦略で“設計”が重要
参考資料・リンク(一次情報中心)
- OECD:Pensions at a Glance 2025(Net pension replacement rates / Table 4.4)
- SSA(米国):Social Security Credits
- GOV.UK:The new State Pension(Eligibility)
- BMAS(独):Old-age security in Germany
- Swedish Pensions Agency:The Swedish pension system
- Services Australia:Residence rules for Age Pension
- CPF Board(SG):CPF LIFE
- 厚生労働省:Social Security Agreements
- 日本年金機構:期間通算(Totalization)
参照日:2025年11月29日
免責事項
本記事は、公的機関・国際機関等の公開情報をもとに作成した一般的な解説です。制度は改正される可能性があり、また居住状況・加入歴・税制・為替・物価によって受給可否や金額は大きく変わります。個別の受給資格判断や手続き、税務・移住・年金の受取については、各国の年金機関・日本年金機構・社労士・税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴
- 初版公開:2025年11月29日
