人と人をつなぐICT技術×高齢者

ICTとは
インターネットを活用して、情報をやり取りする技術の総称であり、人と人、人とモノをつなぐ役割のこと。
普段使っているスマホやパソコンでのコミュニケーションはこれにあたる。
日本は急速な高齢化社会を迎えており、高齢者の生活の質を向上させるために、情報通信技術(ICT)の活用がますます重要となっています。
本稿では、高齢者向けICT技術の現状、実用的な取り組み、そして今後の展望について詳しくまとめます。

高齢者向けICT技術の現状
1.高齢者のICT利用状況
高齢者のICT機器利用は増加傾向にありますが、依然として若年層との間に利用格差が存在します。
内閣府の調査によれば、60代のスマートフォン・タブレット未利用者は15.9%、70歳以上では51.0%と報告されています。

出典:内閣府 情報通信機器の利活用に関する世論調査(令和5年7月調査)https://survey.gov-online.go.jp/hutai/r05/r05-it_kiki/gairyaku.pdf(参照日:2025年4月10日)
2.デジタル・デバイドの課題
高齢者のICT利用が進む一方で、デジタル・デバイド(情報格差)の問題が顕在化しています。
特に、ICT機器の操作に不慣れた高齢者は、行政サービスや医療情報へのアクセスが制限されるリスクがあります。
実用的な取り組みと実例
1.介護現場でのICT導入
介護施設では、ICTを活用した業務効率化が進められています。
・ペーパーレス化:
書類作成や情報検索の手間を削減するため、電子化が推進されています。
・見守りセンサーや介護ロボットの導入:
高齢者の安全を確保し、介護スタッフの負担を軽減するための技術が活用されています。
・モバイル端末の利用:
スタッフ間の情報共有を円滑にし、迅速な対応を可能にしています。
2.地域包括支援センターでのICT活用
地域包括支援センターでは、ICTツールの導入が進められており、以下のような効果が期待されています。
・外部機関との情報連携のデジタル化:
利用者情報の共有がスムーズになり、サービスの質向上に寄与しています。
・ポータブル端末の活用:
訪問先での情報入力や確認が容易になり、業務効率が向上しています。
今後の展望
1.AIやIoTの活用
今後、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)を活用した高度な介護支援が期待されています。
例えば、AIが高齢者の健康状態を分析し、最適なケアプランを提案するシステムや、IoTデバイスでリアルタイムにバイタルデータを収集し、異常を検知する仕組みなどが考えられます。
2.デジタル・デバイド解消への取り組み
高齢者のICT利用促進のため、自治体や企業によるデジタル・デバイド解消の取り組みが重要です。
・ICT教育の推進:
高齢者向けのICT講座やサポート体制を整備し、利用促進を図る。
・使いやすいデバイスの提供:
高齢者のニーズに合わせた直感的な操作が可能なデバイスの開発と普及。
3.エンターテイメントチャットボットの活用
高齢者のデジタル包摂を促進するため、エンターテイメントチャットボットの導入が検討されています。
これにより、孤独感の軽減や認知機能の維持が期待されます。
課題と対策
ICT導入に伴う課題として、以下の点が挙げられます。
・高齢者の操作習熟度:
ICT機器の操作に不慣れな高齢者へのサポートが必要です。
・プライバシー保護:
個人情報の取り扱いに関する適切な管理が求められます。
・コスト負担:
ICT機器導入に伴う初期投資や維持費用の負担をどう軽減するかが課題です。
これらの課題に対応するため、関係者間の連携強化や政策的な支援が求められます。
まとめ
高齢者向けのICT技術は、生活の質向上や介護現場の効率化に大きく寄与しています。